金のバロット

バロットとは、東南アジアを中心に食される孵化寸前のアヒルの卵を茹でたもの。

You Were Never Really Here.

僕だってここまでの半生、人並みに社会生活を歩んできた。人見知りながら友人が出来た。部活に所属した。アルバイトだってした。ただの人見知り程度に思っていたこの僕の性質が今、対人恐怖なまでに肥大化している。


僕のことを貴方達はコミニケーションの少ない表情に乏しく何を考えているか分からない不気味な存在だと捉えるであろう。それは僕も同じだ。恐怖だ。コミニケーションを頻度にし、上司の面白いんかも分からん話を笑い、作り笑いをする貴方達。僕から見れば不気味だ。本音と建前を奇妙に使いこなし粗相なく生きる貴方達が時折怖い。その時折見せる温度感、人間味が余計に怖い。貴方達は人肌に温めたマネキンなんだろうか。僕は本当は、若い娘ののろけ話を笑って聞いてあげる笑いのツボの浅い男なんだぞ。


そして影を潜めていた自己嫌悪が爆発する。他者と関わることで強制的に自己へ他者が介入する。僕は何も出来ないんだ。


思ったのはケータイ売りは、皿を売っていると例えられる。皿を買って飾って喜ぶ人は多少いると思うが、でも主役は料理だ。料理を楽しむのであって、皿を楽しまない。そう。僕らがケータイを売ったところで、民は撮った写真やSNS、動画を楽しむのだ。僕らは誰かを幸福にしているのだろうか。そして量販店に来る客は大体順風満帆だ。究極、僕はこの場にいらない。それに他の誰でも出来る仕事を僕は出来ない。



なぜ、今仕事を辞めようと思ったのは大きく3点の理由がある。


*ペットのニワトリが仕事始めの前日に死んだこと


*弟がバイト先で貰ってきた廃棄のおにぎりが、月に208時間労働で食べれる食事よりはるかに美味かったこと


*僕の雇い主でも無い派遣先の上司に「お前は利益を生んでいない。〇〇(大手ケータイ会社の名前)にとって赤字」だと何様かも分からないことを言われたこと


だから辞めた。


頑張った。僕は頑張った。そう言っておこう。そして思った。














誰かを救いたい。生き辛い奴らを救う言葉を吐きたい。漫画を描きたい。



















僕は空っぽだ。空っぽだからこそ、何にだってなれる。


退職まであと28日。